SNSで偶然見かけた、雑誌モデルかなにかをなさっている女性がアベノマスクをつけて「なんだ結構大きいじゃん」とか言ってる画像がなんとなく脳裏に残っていて、油断しました。

当然です、彼女はモデル…顔が小さいのです。
元プロレスラーの長州力さんは家族に「眼帯にしか見えない」と馬鹿にされ「許せる言葉ではない」とTwitterで憤慨していましたが…。

先日、拙宅にもようやく2枚のマスクが到着したものの、僕の顔のサイズはどちらかといえばモデルよりも長州力寄りであるという現実に頓死寸前です。しかも洗えば縮むんですよね…?

モデルなんてみんな栄養失調で免疫力が下がっているに違いない、とか内心で嫉妬まじりに思っていましたが、マスクに必要な布面積が少ないし、体が華奢な分他人とのソーシャルディスタンスは取りやすそうで、その点は有利かもしれません。食べないので食糧の燃費もいいです。
給付金の10万円は小顔整形や脂肪吸引に使おうか、本気で考えてしまいそうです。

やはり現在のディストピア感溢れるこの国を生き抜くには、強いサバイバル精神を持つほかありません。
僕は使っていないランチョンマットと靴紐があったのを思い出し、中学の家庭科以来(料理の時もこんなこと書いてたな)のお裁縫に挑戦。オリジナルのマスクを作ることに。

手に針を刺すこと5回、できたと思い引っ張ったら何故か糸が全て抜けるトラブル2回を経て、なんとか完成したマスクはなかなか上出来に見えました。
文字通り血と汗の染み込んだ力作です。

さっそく近所のコンビニにお酒を買いに行くのに着けてみたのですが…。

「い、息ができない…」

使った布が厚すぎたようで、呼吸が困難という緊急事態に。
結局脇の部分から空気を吸い込む形になり、マスクとしての機能の半分を失っていました。
息を吸うたびにシューシューと、ダースベーダーのような音が…。

おまけに紐が短かったようで、それでも無理やりつけたら耳が内側に折れ曲がってしまいました。
もう外せばいいようなものですが、3時間かけた力作だという思いが僕を意固地にさせ、その状態でコンビニへ。

紐が耳に食い込んでいるので店員さんの声がよく聞き取れません。
「お箸つけますか?」
という問いにひたすら「D払いで」を連呼していたみたいです。

瀕死のダースベーダーのようになりながらヨロヨロと帰宅し、テレビをつけると通販番組がやっていました。
酸欠で思考回路が鈍り、耳の締め付けで聴力も低下していたせいかテレビから

「あのトゥルースリーパー(ベッド用のマットレス)が、防弾仕様に!!」

という声が聞こえてきても「なんでマットレスを防弾にする必要があるんだ、馬鹿」とかぼんやりと考えていて、もちろんトゥルースリーパーは防弾仕様になどなっておらず「防ダニ仕様」になっていただけでした。
なんなら分厚い僕の手作りマスクの方が防弾性が高そうです。

しかし全く、こんな時代になるとは。
料理といい裁縫といい、家庭科の授業をおざなりにして、サボりまくってはみんなでエロ本を回し読みしていた過去の自分を叱責したいです。
エリーさんにならって僕も家庭菜園を始めましたが…学校ではいつもアサガオを枯らすタイプだったので今から不安です。


ちなみに、この夜zoom飲み会で友人にこのエピソードを話したら「あー、私もユナイテッドアローズの着てないシャツでマスク作ったよ」とか、素材の値段でさらっとマウントを取られました…。

殺伐とした自粛ムードで心のソーシャルディスタンスは広がるばかりです。

早く平穏な日常を取り戻したいです。