自粛で自炊を始め、炊飯器の使い方をすっかりマスターした僕は「寝る前にお米をセットし、タイマー機能で朝から炊き立てのご飯を食べる」という上級テクニックを習得。
これで毎朝「おはよう」という相手がいれば完璧なのですが。
今朝も卵かけご飯を食べようと意気揚々と炊飯器を開けたのですが、そこには得体の知れない、紫色をしたヘドロ状の物体が…。
人間の業と因果を煮しめたらこんな色になるのでは…と思わせる哀しい見た目でした。
もちろんよく見たらそれはちゃんと炊かれたご飯で、色が紫色なのは16穀米を混ぜているからで、ベチョベチョのヘドロ状なのはおそらく水の量が多かったためだと思われます。
昨夜の記憶をたぐり寄せてみますが…オンラインで5時から飲み始めて、日が落ちたあたりからの記憶が曖昧です…ご飯をセットした記憶はまるでありません。
一緒に飲んだ友人に、昨夜の自分の様子を聞くことに。
「7時にはもう泥酔してたよ。割りものが切れたーって言って途中からウイスキーをストレートで飲んでた。あとカメラの前でコンテンポラリーダンスを踊ってたよ」
「(コンテンポラリーダンスって何…?)なんかさぁ、朝起きたらお粥ができてるんだけど」
「あーなんか台所でゴソゴソやってる音が聞こえてたけど」
「他になんかやらかしてた?」
「エジプトに精神の修行に行くって言ってたよ」
通話を切った後も自己嫌悪でしばらく布団から抜け出せませんでした。
「もう酒はやめる…」そんな泣き言を言っても、お米はお米です。粗末にするわけにもいかず、朝ごはんはお粥を食べることに。
おかゆってどうやって食べるんだっけ…と思いつつお椀に盛ってみると、やはりそれは見る者の厭世観を掻き立てる見た目をしていましたが、二日酔いの胃袋には皮肉なほど優しく染み渡りました。
普通に炊くよりもご飯の甘味を感じられる気がしました。何もかけなくても、おかずがなくてもおいしいです。
咀嚼しながら、最後にお粥を食べたのはいつだったかなぁ、と思い返していると、昔付き合っていた人と中華街で食べたピータン粥の記憶が蘇ってきました。
とてもおいしいピータン粥でしたが、芋づる式にその恋人が出会い系アプリで知り合った男とホテルに行きまくっていたことが判明して修羅場の果てに(なぜか僕が殴られて)破局、という最悪の別れ話まで思い出して気が滅入りました…。
ご飯の香りはいつも思い出を連れてきます。
別の人と中華街をデートして、ピータン粥を食べることでお粥の思い出を上書きしたいところです…。